小休止の10

作ることがアウトプットだとしたら、作り続けると、色々なものが枯渇していく気がしています。 だから、インプットが必要で、それは、服を見るとか、ミシンの情報を得る、とかでなく、 色々なカルチャーを少しずつ取り入れていくことで、自分の中で色々と点と点が線になって、作りたいものができていくような、気がしています。

 この小休止のでは、そんなインプットの中でも好きなものをあげていきたいな、と思っています。

 

今回は 小休止の【本】


【からむしを績む】


 

奥会津の昭和村で昔から行われている、苧麻(ちょま)という植物から、糸を紡ぎ、機を織る営みについて書かれた本。

ただ、その村の産業を紹介する本、というわけではなく、連綿とその営みが生活の一部として、まるで太陽が昇って落ちるのと同じように、ただ、希望でもない光としての【からむしを績む】という行為について、文と写真で構成されています。


もちろん(と言ってしまうと失礼なのかもしれませんが)、このからむしは産業としては衰退しています。でも、この営みを伝えようと、昭和村では長期インターン的に「からむし織体験生事業」というものがあり、その体験生から、昭和村に来ている“渡し舟”という2人のユニットが編者をしている本です。


 

構成は、前半が物語。後半が写真。

この構成がとても良いなあ、と思っていて。

物語の中で描かれる昭和村の断片であったり、おぼろげに頭の中に描かれる情景が、美しい写真で映像的に頭に流れ込んでくるのがとても心地よいです。


文章は、哲学者の鞍田崇さん。

とても優しい語り口で、穏やかな雰囲気を作ってくれます。



写真は田村尚子さん。物語の断片が、優しく刺さってくるような構図と解像感。


ただ、物語に合わせて写真を撮ったとか、写真に合わせて物語を紡いだとか、という感じでもない気がするのが面白くて。

この昭和村のからむしについて描くと、こういう空気感にならざるを得ないのではないか、という気持ちにさせてくれます。



 



製本も、糸で綴じられた、今となっては特殊な製本。

でも昔ながらの技術で、本というパッケージそのものに営みを入れようという編者の気持ちが感じられます。



 

本当に、読むと心が落ち着く一冊。素晴らしい体験です。






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